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竹本健治「妖霧の舌」

「囲碁殺人事件」の牧場智久&武藤類子コンビのサイコ・サスペンス。
パソコンでの怪文書流出に端を発する少女連続殺人のお話です。
ミステリーとしては構成も真相もちょっと微妙な出来なんですが、
むしろ一人のオタクの生態を中心に描いた小説という側面のほうが強いです。

その描かれるオタクの桃井君というのが、囲碁の上での牧場のライバルにして、
デブでロリコンでネットで荒らし行為やってて、おまけに腐男子という
香ばしいにもほどがあるすげぇプロフィールの持ち主。

現在でこそ、オタクが自己言及したような作品ってのは
「げんしけん」をはじめたくさん出てきてますけど、
本作は先見性という意味でもうちょっと語られてもいいのではと思います。
まだインターネット前夜で、パソコン通信の時代の話ですが。

初出が92年ってこともあって、まだ宮崎勤事件の
影響バッチリな感じが読んでいて興味深いです。実際そんな記述も出てくるし。
まあ、マスコミの報道の影響とかいう要素を抜きにしても、
ガチオタの生態ってのは一般人からみたら、すこぶる不気味で、
犯罪者にしか見えないという側面も確かにあるよなぁ・・・
ちなみに本書はあくまでエンタメであって、「オタク差別」とか
そういう啓蒙的な部分はいっさい感じないです。為念。
by backspin1999 | 2005-05-07 23:57 | 読書


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